interview

naohito utsumi

naohito utsumi

内海 直仁

RUST MADE IN ENGLAND デザイナー
1980年3月14日生まれ。

24th July 2006/20th May 2006インタビュー抜粋。

Q: イギリスに来るまでの略歴を教えて下さい。 若くしての決断と伺いましたが。
A: ハンドメイドの靴作りに携わりたく、国立高専を中退し渡英。 18歳のときでした。
Q: ジュエリーデザインを手掛けることになったきっかけは何ですか?
A: 独学であっても唯一自分に可能な表現手段であったことです。 PORTOBELLO、SPITALFIELDSのマーケットで活動を始めました。 同時にロンドンのBROWNSといったセレクトショップでの取り扱いが決定したことも大きな契機となりました。
Q: RUSTを立ち上げた経緯を教えて下さい。
A: 当時募らせていたいくつかの不満を打ち消すためです。 後悔のない形で生きていくことが大切なのだと考えます。 いつ途切れるとも知らないこの限られた時間・人生を、自身で納得できることのために使いたいと思いました。 自分の生まれてきた意味、今生きている理由をかたちとして残す。 そして願わくば、記憶として人々の中に生き続けることが出来たならそれは作り手としてとても幸せなことです。
Q: 日本人がイギリスで活動するメリット・デメリットをどのように考えていますか。
A: メリット:世界を舞台に作品を発表できる(RUSTのセールスはアメリカ及びヨーロッパが大半を占めます。)さまざまな知人・友人関係を持つことが出来ること。 アンティークマーケットがあること。 デメリット:概して孤独を強いられること。
Q: デザインやクリエイションの源となるものは何ですか?
A: アンティークマーケット。 そこには全てがあります(月並みな言い方ですが_本物のヴィンテージやアンティークであり、それら歴史、文化、芸術に実際にこの手で触れることが出来る)。
Q: 影響を受けている人物(クリエイター、デザイナー、アーティスト)やモノ、コトはありますか?
A: 目黒区八雲にあるアンティークショップ“FOUND”の近藤修平氏。 (RUSTの顧客でもある)U2のリードボーカルBONO。 その姿勢。 そしてアンティークマーケット。
Q: 現在夢中になっていることはありますか?
A: 東京でのRUST路面店オープン以来、ヴィンテージ・アイテムを使用した一点ものの限定コレクションRUSTANTIQUESを製作するためにアンティークマーケット巡りにはこれまで以上に熱が入ります。
Q: これからの目標や夢を教えて下さい。
A: 建築家となり、社会貢献になりうる作品、建物の創造、街づくりにRUSTとして携わり、よりよい環境と希望を未来へ残すことSUSTAINABILITYという単語が今後大きな意味を持つ言葉だと認識しています。
Q: RUST=錆びを“時間の経過の証明、称賛を意味する”というコンセプトに共感しました。 そもそも、この発想のキッカケとなったエピソードがあれば教えてください。 また、RUSTの“錆び”に対する価値観を改めてご説明ください。
A: 発想として:SUSTAINABILITY
全てにおいて”永遠”はないし、”全能”でいることは出来ない。 物はいつか姿を消し、人は老いそして地に帰る。 それが何千何万年という時間軸で繰り返されてきた。 それでもなお今、自分が生まれてきた意味は。 そんなことをずっと考えて10代の大半を過ごした様な気がします。 その答えが今になりようやく見え始めてきたというのが正直な心境です。 時を経て残り続けるもの、それをつくりそして取り巻いてきた人々の情熱、そうして伝えられた文化を手にする自分たち。 きれいごとでなく、それら物質や精神、そして自然を次の世代へ伝えることが今求められていると考えます。 “ART IS LONG, LIFE IS SHORT”
価値観として:CREATIVITY
幸運にもヨーロッパおよびアメリカで私たちの作品は受け入れられたと言えますが、バイヤーが_ステータスやブランドでRUSTを選んでいるふしは(残念ながら)見受けられません。 やはりそのつくりが好きで価値観が合うのでしょう。 ただ例によりそれはけして大多数とは言えず、実際に購入し身に着けていただいているのはまだまだ一部のクリエイト職の敏感な人たちというのが現状です。 ただそんな“創造者”の方々に理解していただけることに、またいち作り手として満足しています(特にはU2のBONOのような表現力を影響力に変えて社会貢献とするアーティストに気に入ってもらえたことはとても光栄に思います)。 私たちのものづくりに於いて“客=消費者”という図式や表現は対極に位置すると考えます。
Q: ヴィンテージメダルやコイン及び鍵を作品に用いる際の技術的&デザイン的こだわりを教えてください。(=RUSTの技術的&デザイン的こだわりを教えてください) また、RUSTの“錆び”に対する価値観を改めてご説明ください。
A: INDEPENDENCY: 形意。 味やコンセプトは別として、カタチとしては極めてニュートラルであるべきということです。 具体的には、“〜系”と括られる集団には属すべきではない、という作り手としての考えがあります。 身につける人が自身の色で染めていけばストーリーは完結するものです。
ELEGANCE: 知的であること。 今これまでになく社会性および外観が重んじられる時代、明らかにそれから逸脱した様相のジュエリーを身につけることは避けるべきです。 ファッションがあっての社会ではなく、まず文化・社会があり、そしてファッションが存在します。
SHARPNESS: 光。 作品にはすべてストーンウォッシュを経た独自のアンティークフィニッシュがなされます。 使い始めてすぐに現れる、いつまでも触れていたくなるようなその独特の光り方はなんとも形容し難いものです。 強引に言葉にすれば“人の目が輝くときような”希望に満ちた光を持つ作品をRUSTは作り続けていきたいと考えます。
Q: ロンドンを拠点においている理由は?
A: RUSTにとって、活動の場としてロンドンが“選択肢のひとつ”という概念はありませんでした。 もう始まりも終わりもここにしか無い様に思えます。
Q: ジュエリーとは、どういうモノであるべきと考えますか?
A: ジュエリーは、人が身に着けるもののなかで機能を持たない唯一つのアイテムです。 時計や帽子でさえその役目があります。 踏まえれば、そこにもし意味がなければそれは本当に意味のないものと成りうるでしょう。 逆を取れば意味を身につけることにジュエリーの意味があります。 それは(時に無常なまで)その人の価値観を表します。 多様化したことで逆に一様化したとも言えるファッションの中では、その小さな意味が多くを意味します。
Q: 自身のジュエリーデザインで、もっとも大切にしていることは何ですか?
A: 本物であること。 形が美しいこと。 意味があること。

以上、有難うございました。